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環境パフォーマンス評価

環境パフォーマンス評価の実施要領

企業が環境パフォーマンス評価を実施する際の具体的なガイドラインを作成した。なお、本ガイドラインはDIS14031に述べられているPDCAのプロセスに沿って評価を実施する手順であるが、DIS14031に述べられているマネジメントパフォーマンス指標に始まる評価指標順にはよっておらず、法令類への遵法状況確認から始まる環境状態指標の設定を他指標に先立って実施する手順としている。

これは、従来公害問題への対応に際し、まず法令類を把握・整理し、その後各種規制・基準を遵守するという一般的な進め方によったものである。しかし、例えば二回目以降の環境パフォーマンス評価実施時には、投資者や付近住民からの情報等に基づきマネジメントパフォーマンス指標から設定するなど、このガイドラインにおける指標の設定順を変えた方が良い場合が考えられる。

以上のように、評価指標の設定順等については、本ガイドラインを応用し社会情勢や組織の運営状況によって適宜運用することが望ましい。


1.環境パフォーマンス評価の実施体制

以下、環境マネジメントシステムとは、ISO14001及び14004に準拠したシステムのことを指す。

  1. 評価対象範囲
    環境パフォーマンスの評価対象範囲には、ある特定の製造ラインからサイト、製造機能を持たない本社、組織全体までさまざまなものが考えられる。

    ISO14001取得済み企業においては対象範囲をそのまま評価対象範囲とするのがよい。そうすることによって、PDCAサイクルを循環させる上で有用な情報を得られるため、著しい環境側面の抽出に用いることができ、あるいはシステム規格であるISO14001による改善内容を客観的に把握することができる。なぜならば、本来ISO14001では、審査の単位については、地理的区分が明確で、インプット、アウトプットのマネジメントが可能であり、資源投下・環境目的設定など環境マネジメントシステムに対する権限を有する経営層を含んでいることなどが求められているからである。

    また、ISO14001未取得企業においては、評価対象範囲は、あらかじめ組織の主要活動を勘案し、環境に対して負荷をもたらしている可能性の高い範囲を含むように設定するとよい。なぜならば、環境パフォーマンス評価は、環境マネジメントシステムを構築することの重要性を経営層に理解させるための有効な情報となるとともに、環境マネジメントシステムを構築していない状態でも著しい環境側面の発見を可能にするプロセスとして活用できるからである。


  2. 評価実施担当者
    ISO14001取得あるいは未取得に係わらず、環境パフォーマンス評価の実施担当者には、評価の円滑な遂行のためにいくつかの資質が要求される。
    環境の状態を表す指標を設定するステップ(4)では、環境問題について一般的知識を有していることが望ましい。また運用パフォーマンス指標の設定のステップ(6)では、主要な事業の活動実態及び公害防止に関する対策技術等の基礎的知識を有していると、円滑に指標が設定できる。マネジメントパフォーマンス指標の設定のステップ(7)では、総務・経理部署等、日頃環境問題には直接関与していない部署から投入資源量などについての情報を得る必要があり、そのためには、企業固有の管理を行っている部署や業務運営の概要を把握しておくことが求められる。


  3. 評価実施部門
    1)、2)を総合して考えると、環境パフォーマンス評価は、ISO14001取得企業においてはISO14001担当部門か環境担当部門で行うのが望ましい。

    一方、ISO14001未取得企業においては環境パフォーマンスの評価対象となるサイト等について公害防止を担当している部署が主体となって、総務等の管理担当部署と連携を保ちつつ評価を実施するのが最も合理的である。基本的には評価対象範囲や組織固有の業務運営の実態に応じた部門で対応し、臨機応変に見直し改善を重ねていくことが望ましい。

 

2.環境パフォーマンス評価の準備
  1. 経営層は組織のあらゆる活動による環境負荷を把握する必要があると認識し、環境パフォーマンス評価の実施を決定する。


  2. 経営層は評価の実施を明らかにし、環境パフォーマンス評価担当部門を設定する。担当部門は経営層や全従業員などの組織内部、また、コンサルティング機関などの組織外部機関との情  報交換が円滑に行える部門が望ましい。

 

3.環境パフォーマンス評価の計画
  1. 自らの組織活動、すなわち「組織が管理でき、かつ、影響が生じると思われる、活動、製品またはサービス(ISO14001)」に関する情報を整理することにより、環境パフォーマンス評価の対象となる重要な環境側面を自らの判断で特定する。

    すでに環境マネジメントシステムを構築し、その中で環境側面の特定を行っている組織においては、それらをそのまま環境側面として使用してよい。さらに、環境側面を見直して設定することもできる。
  2. 誰が、どの関係者に、どのように、環境パフォーマンス評価の結果を報告し、コミュニケーションを図るかを決定しておく。
    ex.
    「全従業員に環境ステイトメントとして文書で通達し、逆に意見やアイデアを吸い上げる。」
    「株主総会で報告し、株主と今後の方向性等について協議する。」
    「環境報告書を作成し、公表する。」

 

4. 環境状態指標の設定

自らの組織活動に加え、法令類による規制項目、環境問題の動向等を整理することにより、環境状態指標を設定する。以下の手順による。

  1. 法令類から、遵守すべき事項を整理する。
    ex.
    「遵守すべき法令…大気汚染防止法、水質汚濁防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、再生資源の利用の促進に関する法律、等」


  2. 組織を取り巻く環境問題の動向を把握する。以下のような情報の利用可能性を検討する。
    (1) 1)行政機関による白書類や委員会報告書、ホームページ情報。国際政府機関で取り決められた国際条約。
    (2) 地域住民等から組織に直接寄せられた苦情。公聴会時のヒアリング結果。アンケート・モニター調査結果。
    (3) NGO 等から組織に直接寄せられた苦情。書籍等発行物によるNGO 活動レポート。
    (4) 調査研究機関による研究年報、学会誌。JICST 等既存データベース。
    (5) 業界団体での自主規制的な取り決め事項。
    ex.
    「組織を取り巻く環境問題の動向…付近住民からの工場排水・排ガスに関する苦情、海域の富栄養化による生態系への影響に関する研究発表、等」

  3. 環境影響表等を作成し、自らの組織活動のうち環境に影響を与えると考えられる項目を抽出する。
    ex.
    「環境への負荷項目とその負荷量等が定量的に把握されている場合」
  4. 公害要素の現状 現状及び影響の評価 ●の数が
    3
    個以上
    現在の対環活動の有無 著しい環境影響とすべき課 備考










    期間 数値
    環境関連法令
    ・業界
    の要求
    ガイドライン等の事

    取引先などが関心を寄せている事項か 近隣住民からの苦情があるか 職場環境に関連する事項か 地球規模の環境問題に関連するか 事故等により環境問題が発生する可能性が高いか 事故等の発生した場合環境への影響は大きいか その他()
    工場 ボイラー NOX - 70 ppm                 排煙処理
        ばいじん - 2 mk/
    Nm3
                    集塵装置
      表面処理施設 トリクロロエチレン - 10 ppm               >   活性炭吸着
      乾燥機 悪臭 1年 3              
      圧縮機 騒音 - 75 dB              
        振動 - 68 dB                    
    NO.!
    排水口
    洗浄施設
    管理棟
    敷地内
    洗浄排水
    生活廃水
    雨水排水
    1日
    1日
    100
    10

    m3
    m3
                     

    (出典:横浜市『環境マネジメントシステム導入ガイドブック』)


    ex.
    「環境への負荷量等が定量的に把握されていない場合」
    業務分類 プロセス 環境負荷項目 環境の状態
    製品の製造 脱脂処理 酸洗浄に伴う大気汚染 汚染物質濃度
    洗浄 洗浄剤による高COD排水 COD濃度
    組立 組立設備からの騒音 騒音レベル
    製品の納入
    ラック輸送
    自動車排ガスによる大気汚染
    NOx等の濃度

  5. 自社の環境負荷項目と照らし合わせて、把握するのが望ましいと客観的に判断される環境状態の指標を設定する。

    ex.
    「工場排水による海洋汚染について、環境状態指標を周辺海域におけるCOD濃度[mg/L]とする。」

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